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ベタ観光2

最寄りのバス停から清水寺に到着するまでに
人力車の勧誘やら
狭い道でぐいぐい来る車の往来やらいろいろあったが
1でもかなり長くなってしまったので
道中のことは省かせていただく。

階段を上がり、いよいよ清水寺に入る。
今回時間の関係により
2年坂方面は残念ながらパスである。

ここでのいちばんの目的は
入ってすぐにある「隋求堂(ずいぐどう)」。

詳しく知りたくない、という人は、
ここで閉じていただきたい。

隋求堂とは、別名「胎内巡り」と言われるもので、
罰当たりな言い方をすると
清水寺唯一のアトラクションである。

まっくらな細ーい道を一人歩き、
途中、光とともに現れるありがたーい
「梵字」に触れ、
願い事を(心の中で)唱えてかなえていただく、
というものである。

こんなの小学校の時にあったかなぁ…と
思い、ぜひ参加したくなった。

受付のところには
またも修学旅行生。
もう今日はずっと彼らと共にするのだろう。

そこでは修学旅行生数人に
取り囲まれた初老の男性が、
何やら話をしている。

引率の先生かな?と思い、
その裏にいたおばさんに
「あの~、受付はこちらでしょうか」と
遠慮気味に聞いてみたところ、
「今説明をしてますからね。聞いておいたほうがいいですよ」と
言われてしまった。

なんだ清水寺の人だったのか…
紛らわしい…。
と 話を聞いている生徒たちの後ろにまわり、
途中からではあるが、耳を傾けてみることにした。

ところがである。

その向かいにいた
これこそ修学旅行生の引率者及び
カメラマン担当のオヤジたちが
うるさいのなんの。
説明が全く聞こえない。

よっぽど注意しようかと思ったが
寺で無粋か…とグッと飲み込んだ。

結局、さっぱり進み方がわからぬまま
私は暗闇へと放り出されることになった。

恨むぞどこの学校か知らぬが
引率者及びカメラマンよ。

靴を脱ぎ、恐る恐る暗闇へ続く下り坂を行く。

前を歩く家族が、
「左に備え付けられた
数珠の手すりを頼りに歩くらしい」という
情報を恵んでくれた。
神様仏様である。

左手で数珠をしっかりつかみ、
ほぼすり足で前へと進む。

なぜすり足なのかというと、
急に段差や高低差が出てきたら怖いからである。

「静かにしゃべらずに進んでくださいね」、
という受付のおばさんの注意もむなしく、
先に奥のほうへ進んだ女子学生たちは
ワーキャー騒いでいる。

怖いのはわかるが、
そこはこらえてくれないとなぁ…。

中は、一つの音も光も、一切ない。
(ワーキャーは無事1回でおさまりました)
そしてひんやりとしていて、恐ろしい。

「願い事」などという俗なものを
持っていること自体、
罪なのではないかと思わされる程の恐怖感が襲ってくる。

パニックになる人はいないのだろうか。
私がビビりすぎなのだろうか…。

ちなみに私の願い事は
「健康的に1か月ちょっとで10kgほど痩せられますように」
という俗の塊のような願い事だったのだが、
歩いているうち
「ダイエットは自分で頑張りますぅ、
だから無事脱出してこのまま家族と幸せに過ごさせてください」
というものに替わった。

女子高生のワーキャーなんかより酷いものである。

始まりに、受付のおばさんが言った
「必ず出られますからね」という
言葉と数珠を信じて(出られなきゃ困るっ)
さらに足を進める。

家族は前にいるかな…と
前に手を伸ばしてみたものの、
空を切るばかり。

大きなリュックを背負っているはずなのに、
まったくかすりもしない。

もしかして、後ろがすごーく渋滞しているのでは…。
という別の不安が私を襲う。

私のせいでみんな全然進めず、
前の人とぶつかったり、
受付が混雑しているかもしれない。
かといって小走りで行くことなど到底できない。

これは困った。
困ったがどうしようもないので
どうか広い心で許してください。
南無南無。
と諦めてすり足で進み続けるのであった。

途中現れた梵字にも無事触れ、
暗闇から脱出(?)し、
家族と再会した時の喜びたるや。

「途中、ちょっと立ち止まったり
振り返ったりしてたんだけど、
全然来なかったねー」と
にこやかに話す家族を見て、
こいつは腕っぷしだけでなく
精神も本当に強いのかもしれない…と
改めて無駄に逆らうことはしないでおこう、
と心に決めたのであった。


つづく


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